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近年、企業と消費者の関係は消費者主導へとスライドしています。これまで以上に企業の不正行為が発覚した際の消費者の信頼を失う事の痛手は計り知れないものになっています。不正行為が発覚すると、企業は消費者の信用を失い、業績が悪くなります。企業は信頼回復の為に、様々な痛手を負う事になるでしょう。最悪の場合は企業の倒産までに追い込まれる可能性も考えられます。その企業にとってはもちろんのことですが、従業員、取引先、さては地域社会にとっても死活問題となりえます。企業で行われる不正行為は通常、外部からは不透明で発覚しにくいのですが、内部にいる従業員等は気づきやすく、また知っている情報も信頼性が高いと言えるでしょう。その為、企業の不正行為と言われるものは内部の者による通報から発覚する事が多く見受けられます。 しかし、内部通報は、通報者にとっての負担が非常に大きく、現状では内部通報を行いにくい状況です。内部通報をする事によって、過去には、閑職しか与えられなかったり、降格や減給、または解雇されるなどの問題があった為、現在は通報者を保護する法律(公益通報者保護法)ができて、それらの不当な待遇は禁止されています。これは一見、通報者にとっての大きな安心となる事のように映りますが、実際のところ、通報後は以前の人間関係を維持する事は出来ない為に、現実的には通報前後に会社を去ってしまうケースが多く見受けられます。いくら法律があり、不当な待遇が禁止されていても、会社内では、通報者に対して、何らかのマイナスの印象を持ってしまうでしょう。中には、会社の裏切り者と思う人もいることでしょう。生身の人間の精神状態を変える事は困難であり、法律では現実の問題に対応する事は不可能なのです。 |